いきしちみ

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1-5.手間がかかる催眠もいいよね

催眠ヒュプノシス説得・パースエイド
 スキル保持者による説得が【親友】による説得と同程度の効力を発揮する
 Lv1:下記条件が適用される
 ・身体接触をしている間のみ効果が発動する

 便利だ。便利であることは間違いない。だけど……

「微妙に使いづらい!」

 効果の割に発動条件が厳しい。触っている間のみ発動できるだと?何度も言ってるがそんな気軽に身体に触れるならこちとら女に困ってねーよ!
 いまの命さんのように軽く触る程度はできる相手なら問題はない。エロいことしてる最中はずっと接触状態だし。
 問題は新しく攻略するヒロインの時だ。マンションですれ違った人の肩に手を置いて「これから俺とデートしない?」とでも言えばいいのか。翌日から針のむしろだぞ馬鹿野郎。

 しかも『催眠説得』の「説得がしやすくなる」という効果が適用されるのは身体的接触をしている間「のみ」だ。つまり一度触ればそのあとずっと効果があるわけじゃない。
 メリットよりデメリットの方が明らかに大きいスキルだ。どちらかというとハズレのスキルっぽい。
 当たりスキルじゃないことにがっかりするのが自然なのかもしれない。それなのに何故だか俺の心はワクワクしていた。

「うーん、やっぱりどう見ても使い勝手が悪いよな。どうやって攻略の中で使うか考えないと」

 簡単に相手を催眠状態にすることが出来ない。問題なし、上等だ。むしろそっちのほうが試行錯誤の余地があって面白いと俺は笑う。
 指パッチンで言いなりに出来るのはもちろん楽しいさ。事実、さっきまでは俺もそんなスキルが欲しかった。
 だけど実際に無双スキルが使えるようになってしまったら、俺はあっという間にこのゲームに飽きてしまうんじゃないかと怖くなったのだ。

(どんな敵も簡単に倒せちゃうと結局つまらないんだよなぁ)

 いまの俺は女とセックスがしたくて堪らない。しかしそれは、俺が女と簡単にセックスできないから生まれる欲求だ。
 もし呼吸をするように新しい女とセックスできるようになったとしたら、はたして俺はここまでの情熱をエロに向けられるのだろうか?

(ままならないからこそ人生ってやつか)

 街中ですれ違う美女とセックスできない。だからこそどうにかラブホに連れ込んで滅茶苦茶に犯したいと思える。
 他人の女とセックスできない。だからこそ自分のチンポに惚れさせて寝取りセックスしてやりたいと思える。
 やりとげるのが難しければ難しいほどそれを成し遂げた時の快感は凄まじいものになる。ゲキムズゲームをいくつもこなしてきた俺はそのことを良く知っていた。
 だから俺にはこのスキルで十分だ。この『催眠説得』で女を堕として行こう!

「まったく!楽しくなってきたな!」

 隣の部屋に聞こえてしまうほど大きな声で笑う。調子に乗った19歳ゲーマーの姿をスマホの無機質なカメラだけが眺めていた。

 ◇

「まずは方針を決めよう」

 目をつぶって椅子をぐるぐると回しながら考える。いまのところ思いつくルートは二つだ。

「パターン1、命さんの攻略を進める」

 こちらはもともと考えていたルート、具体的には第二陥落まで堕とすことが目標だ。拠点制圧の必要数にカウントされるのが第二まで攻略したヒロインだからな。
 このゲーム、登場した語句についての説明はあるものの未開放の要素については詳しい情報が開示されていない。第二陥落した時に何が起きるか、どんな情報が得られるかは未知数だ。
 だからこそ自分で試してみるのが一番手っ取り早い。ただし期待していたほどの結果は得られないかもしれない。良くも悪くも挑戦的なアプローチがパターン1だ。

 もう一つ考えらえるのは――

「パターン2、別ヒロインの攻略を進める」

 こちらの目的は攻略しやすいヒロインの厳選だ。現状だと十和田マンション制圧に向けてヒロインを攻略していくのが最適なルートに見える。
 制圧に必要な第二陥落達成ヒロインの人数は3人。人数だけ見ればどのヒロインを攻略しても変わらないように思えるが、ヒロインによって攻略の難易度が変わる可能性がある。
 設定が決まりきったゲームの世界じゃないからヒロインの性格も十人十色だ。貞操観念ゆるゆるな人妻もいれば男性を毛嫌いする独身もいるだろう。

 いま俺が接触しているのは命さんだけだが彼女が簡単なヒロインなのか難しいヒロインなのかはわかっていない。彼女よりも簡単に攻略できる女がこのマンションにいてもおかしくないだろう。
 だから取り合えず色々なヒロインを第一陥落させてみてどのヒロインを第二陥落させるか吟味する、というのがパターン2だ。
 こちらの最大のメリットは色んな女とセックスできる点だ。うん、この理由だけでパターン2を選びたくなっちゃうな。
 もちろんこっちにもデメリットはある。まず命さんの攻略が中途半端になること、それから第二陥落以降の情報を得られないままゲームが進んでしまうことだ。情報不足は予期せぬトラブルを引き起こすから早めに解消したいという気持ちも正直ある。

 一人のヒロイン攻略を完了させる正統派ルートか。複数のヒロイン攻略を同時に進めるハーレムルートか。

「さて、どっちを選ぶかな」

 椅子をぐるぐると回転させながら思考も一緒に回す。どちらのルートにもメリット・デメリットの両方が存在している。だったら後はどっちの方が性に合っているかだ。
 一人のヒロイン攻略に集中するか。ハーレムを視野に入れつつ進めるか。

「……こっちだな」

 かかとを床にぶつけ回転を止める。閉じていた目を開いて俺はスマホを見つめた。

「パターン1だ。命さんの攻略から進めよう」

 やり残しはあまり好きじゃない、中途半端にしておくと結局終わらせないまま残ってしまいそうなのだ。先に片づけてしまおう。
 それに命さんの身体は素晴らしい。童貞を卒業したばかりの俺にはまだ見ぬ美女よりヤレそうな美女だ。

「またイチから攻略するとセックス出来るまで時間がかかりそうだしな。まずは命さんを堕としていつでもセックス出来るようにしよう。っしゃあ!頑張るぞぉ!」

 スマホを手に取ってベッドに寝転がる。よし、そうと決まれば命さんの情報を見ながら攻略方法を考えることにしよう。
 そうして俺は画面とにらめっこをしながら命さん攻略チャートを考える作業に沈んでいった。

 ◇

 翌朝――

「さて」

 6時起床、昨夜は早めに寝たから体調はバッチリだ。攻略チャートもバッチリ脳に叩きこんである。あとはフローの通りに会話しながら俺の望む方向に誘導していくだけだ。
 外着に着替えてクッションを玄関に移動させ、そのまま座り込みスマホを取り出す。
 まずは旦那さんと息子君が外出してくれないと話にならない。そのためには家を出たか確認する必要がある。

「早めに出ていってほしいなぁ」

 そう言いつつも長丁場になることはわかっていた俺はスマホのゲームを起動した。

「旦那さんは7時半、息子君は9時に外出か」

 メモに残した時間を見返す。うっすらと聞こえた会話によると会社に行った旦那さんが帰るのは19時頃、友達と遊ぶらしい息子君は早くてもお昼過ぎのようだ。
 スマホを見ると現在時刻は9時10分。

「12時をタイムリミットにするとあと三時間弱だな」

 余裕というほどあまり余ってはいないが事を済ませるのには十分な時間だ。

「よしっ、行くか」

 立ち上がって扉を開ける。そのまま隣の部屋まで歩きぴんぽーんとチャイムを鳴らす。

「はい、どちら様ですか?」

「宿見です。少しお話があるんですがいいですか?」

 返事はない。が、しばらく待つとガチャリと鍵が開けられた。開いたドアの向こうには強張った顔の命さんが立っていた。両腕で身体を抱きしめており警戒しているのが見て取れる。

「他の人に聞かれたくないので中で話しましょう」

 眉をくいっと上げた彼女は何も言わずにコクリと小さく頷いた。俺は薄く笑い玄関に足を踏み入れる。
 よし、第一関門はクリアだ。

 昨日と同じ椅子に座る。命さんはテーブルを挟んだ向こう側に座った、今日はお茶を出してくれないようだ。

「命さん」

 かしこまった態度で真向いの顔を見る。命さんも真剣な眼差しで俺を見つめ返した。

「昨日の続きをしませんか?」

「……えっ!?」

 そう言われるのは予想外だったのか驚きの表情を浮かべる命さん。少しの間あぜんとしていたが、すぐにその顔を怒りに染めガタリと椅子から立ち上がった。

「そんなことを言いに来たの!?ならもう出て行って!!!」

 強く言い放ち玄関の方を指さす。俺はわざときょとんとした顔を作りながら命さんに尋ねる。

「あれ、命さんもその気じゃなかったんですか?じゃあなんで俺を家に入れてくれたんですか?」

「だって!私てっきりあなたが謝りに来たのかと……」

「謝る?昨日のはお互いに望んだことでしたよね?何を謝る必要があるんですか?」

「っ!!あなたはっ!!!」

 命さんは般若のような憤怒に表情を変えながら詰め寄ってきた。こ、怖い。マジギレする前に昨日の暗示が効いてるか確認しないと。

「そんなに怒らなくても。昨日のセックスは気持ち良くなかったですか?」

 顔を真っ赤にしてそう言い放つ。その言葉に俺の口角がくっと吊り上がってしまう。いいぞ、その台詞が聞きたかったんだ。

「ならいいじゃないですか。旦那さんとのセックスより凄いアクメできたでしょ?」

「ええっ!あの人とのセックスじゃ絶対に味わえない絶頂だったわよ!それでも不倫はやっちゃ駄目なことなの!!」

 必死な表情で捲し立てる命さん。本人は気づいていないのかもしれないが、その表情からは怒り以外にもほんのわずかに期待がにじみ出ていた。
 笑いを堪え切れなかった俺は顔を伏せながらニヤリと口を歪ませた。大丈夫、彼女にかけた暗示はちゃんと効いている。

 ◇

 昨日、俺が命さんに新しくかけた暗示は「宿見烙とのセックスを最高だったと思い続けること」だ。
 セックスの後片付けが終わった後に残っていた催眠状態の残り時間は10分だった。そんな僅かな時間では彼女の認識を大きく捻じ曲げるほどの暗示はかけられるかわからない。
 だから俺は命さんの認識を捻じ曲げるのではなく一部を固定することにした。そっちの方がかかる時間は少なくて済むだろうと考えたからだ。

「命さん、俺とのセックスは気持ちよかったですか?」

 セックス後でまだ意識がぼーっとしている彼女に俺は問いかけた。

「えぇ……気持ちよかったわ……」

「良かったです。命さんは俺とのセックスは悪いことだと思いますか?」

「烙君とのセックス……旦那じゃない男とのセックス……いけないことだわ……」

「なるほど、確かにいけないことかもしれないです。でも深く絶頂するほど感じていましたよね?」

「……すっごく感じちゃったわ」

 耳元に口を寄せて穏やかな声色で語りかけながら全ての結論を『気持ちいい』に帰結させる。命さんの中で気持ちいいと感じたことを揺るがすことができない真実に固定させるために。

「命さん、あなたがどんなに後悔しても俺とのセックスが気持ちよかったことは変わりありません」

「後悔しても……きもちいい……」

「えぇ。意識を取り戻した後、いけないことだったと思い直してもセックスの快感は否定できません」

「いけないこと……だけど……きもちいい……」

 何度も何度も「俺とのセックスが気持ちよかったことは認めざるをえない」と言い聞かせる。しばらく繰り替えして彼女の中で認識が固まったことを感じた俺は最後の確認をした。

「【俺とのセックスは今までした誰とのセックスよりも気持ちよかった】――これは揺るがない事実です。どれだけ罪悪感を覚えてもその認識だけは変えなくて下さいね」

「烙君とのセックスが一番気持ちよかった……えぇ……何があっても思い続けるわ……♡」

 ◇

 俺が彼女に残したのは『とっかかり』だ。宿見烙とのセックスは気持ちいい、その認識さえあれば次のセックスまではこぎつけるだろうと踏んだからこの暗示をにかけたのだ。
 そしてその行為は実ったようだ。命さんは昨日のセックスを後悔しつつも否定はしていない。やってはいけないことだったけど最高のセックスだったという認識が彼女の中にちゃんと残っている。これで第二関門もクリアだ。

「なに被害者ヅラをしてるんですか?命さんも望んだことじゃないですか」

 わざと冷たい表情をつくり咎めるような口調で詰問する。

「っ!それは……」

「俺に無理やり押し倒されたって言いたいんですか?でも命さんも俺のチンポを触った後に誘いに乗ってきたじゃないですか」

「あれはっ……でも……」

「セックスが始まったらあんなによがってた癖に。俺とのセックス気持ちよかったんですよね?」

 命さんの顔から怒りが失せ、怯えの色が見え始めた。先程まで頭に上っていた血がさっと引いている。

「あの時は……私もおかしくて……」

「おかしい?そんな言い訳で旦那さんが許してくれると思うんですか!?」

「ひっ……」

 怒鳴られた命さんは詰問から逃れるように両腕で目を隠した。青ざめた顔でふるふると震える彼女の中から怒りはすでに消え去っていた。
 あるのは犯してしまった罪に対する罪悪感と昨日とは態度を一変させた俺に対する恐怖のみ。限界を迎えそうな心を破壊するために俺はとどめを刺す。

「結局あなたはちょっと言い寄られたらよく知らない男に身体を許しちゃうチョロい女なんですよ、この尻軽浮気女が」

 ――ひっく……ひっく……

「う、ううううううう……」

 しゃくりあげるような泣き声が静かなリビングに響く。命さんは大きな目からぼろぼろと大粒の涙を流して泣いていた。
 子供のようにぐしぐしと目元を擦りながらぐずるような声を漏らしている。

「命さん」

 正面からそっと抱きしめる。彼女の震えを分かち合うようにぴったりと身体を密着させる。

「だって……だって……」

「わかってます。命さんは悪くありません」

 さっきまでと一転して優しい声色で震える人妻を慰める。

「ずっと一人でいれば寂しくなるのは当然ですよ。悪いのは命さんを縛り続けている旦那さんです」

 嗚咽を漏らす命さんの背中をさすりながら俺は耳元で囁いた。甘く、優しく、毒をゆっくりと脳に染み込ませるために言葉を紡ぐ。

「ちょっとくらい羽目を外したからって何が悪いんですか。命さんを大事にしない旦那さんへの仕返しと思えばいいんですよ」

 甘言を振り切るように顔を振り彼女は呟く。

「でも私……あの人を裏切りたくないっ……」

「先にあなたを裏切ったのは旦那さんです」

 迷いを断ち切るようにぴしゃりと言い放つ。

「命さんに自分を支えるための妻としての役割を押し付けているのは旦那さんです。あなたの気持ちを無視して子供のために良き母でいるように強制しているのは旦那さんなんです」

 二人の身体を密着させながら旦那さんを貶める言葉を何度も繰り返す。命さんがを引きずり出して心を深く抉る。

「あなたは十分に耐えてきました。でも、もう我慢しなくていいんですよ」

 顔を少し離して彼女の潤んだ瞳を見つめる。

「教えてください、命さん。あなたの本当の気持ちを」

 堪えるように唇を震わせていた命さんだったが、やがてダムが決壊したように口から言葉が溢れ出した。

「私……もう寂しいのはイヤっ!!妻や母としての役割をこなすことだけを求められて、女として求められ愛されないのは嫌なの……っ!!」

「俺が愛します。旦那さんが愛さない分、俺が命さんを愛します」

 真剣な顔で彼女の心から出る叫びに返す。

「私、まだ28なのよっ!?セックスレスには早すぎるわ!!女としての魅力は残ってるはずなのにっ!!」

「命さんはすっごく魅力的です。命さんとセックスしたくて俺、朝からずっと勃ちっぱなしですよ」

 そう言ってズボン越しの肉棒を股に擦り付ける。その硬い感触に頬を染めた命さんは強く睨みながら、それでも隠しきれない期待を溢れさせて俺に問う。

「烙君、本当に私のことを愛してくれる?私をあの人から救ってくれるの?」

 潤んだ目を見つめながら大きく頷いてから自信たっぷりに告げる。

「俺があなたの身体も心も貰います。あの最低男から命さんを奪います」

 そう言うと命さんは涙ながらに嬉しそうな笑顔を浮かべ、俺に深く口づけをした。

(よし、堕ちた)

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